岩の箱舟
橿原市の白橿町にひっそりと鎮座する、謎の巨石がある。
巨石と言うより、岩と呼ぶ方が相応しいかもしれない。
その名を「益田岩船(ますだのいわふね)」と言う。
東西約11m、南北約8m、高さ約4.7mという巨大な石造物。
その重量は160トン〜800トンと推定されている。
これは飛鳥地方の石造物の中でも最大級で、その迫力たるや石舞台古墳をも凌ぐ。
小高い丘をインディージョーンズさながらに駆け上ると現れる、黒い物体。
初めて訪れた時はあまりの異様さに尻込みした。
何なんだこれは!!
岩船と名が付いているが、ホントに岩の船のようだ。
少し上から巨石を見る。
四角い穴が二つ、ぽっかり口を開けている。
昔はここから町を一望出来たらしいが、今は竹林が茂っていて全く見えない。
さっきの場所から降りて右側面を見てみる。
反対側と違い、こっちは石が地中に埋もれているようだ。
助走をつければ石の上に登れるかも?
登ってみた。
見てみると二つの穴に水が貯まっている。
手前の穴の方が水の量が少ないようだ。
不思議なことに、手前の穴にだけアオコが発生している。
それにしても綺麗に加工されている。
石の上から降りて案内版のある側面を見てみる。
亀裂が入っているようで、水漏れがある辺りにコケが茂っている。
上半分と下半分を観察すると、明らかに上の方が綺麗に整えられているのが解る。
これは石が加工途中である証拠らしい。
近くに寄って下側を見てみる。
結構アチコチで水漏れがあるようだ。
この角度から見るとホントに岩船のように見えなくもない。
かなりゴツゴツしている…まさに岩肌と言ったところか。
例によって人と比べると巨大さが解りやすい。
鬱蒼とした竹林に隠されている事もあり、かなり異様な雰囲気。
この岩船、誰がいつ何の為に加工したのか解明されていないらしい。
つまり用途不明なのである。
最も可能性があるのは、古墳の石室に使う為とか。
それにしても、これ程の巨石をどうやって運んだのだろうか?
元々ここに存在した巨石を加工したとの説もあるらしいが、どうも合点がいかない。
と言うのも、回りには何も無く、この巨石だけがポツンとあるから。
しかしまぁ、謎は解明されない方がロマンがあって楽しい。
マイナーゆえ訪れる人は少ないと思うが、是非立ち寄って欲しいスポットのひとつ。
個人的には石舞台より魅力的だと思う。
Camera : Canon PowerShot G3
by yamatobito_yokki
| 2009-07-14 01:55
| 巨石・奇岩